序章Ⅰ
幼少の頃から、人見知りで、
恥ずかしがりやだった彼は
人前に出ることを極端に怖がり、
他の同級生が外で逞しく遊んでいる様子を、
羨ましそうに眺めていた
どちらかと言うと内向きな性格を持っていた
彼にとってファミリーコンピュータの登場は、まさしく渡りに船だった。
中流階級で生まれ、育った彼だったが、
周囲の同級生に比べると早い段階で、
ファミリーコンピュータを手にすることができた。
彼の両親は自営業で小さな工場を営んでいたが、彼と彼の兄、二人の為にファミリーコンピュータをプレゼントすることにした。
彼も彼の兄も、同じ地区の活発な同級生に馴染めないでいたからだ。
ファミリーコンピュータを手にした二人は初めて購入するソフトにドラゴンクエストⅡを選択した。
この選択が幼少期の彼の成長に多大な影響を及ぼすことになった。